大和寝倒れ随想録

勉強したこと、体験したこと、思ったことなど、気ままに書き綴ります

『古代オタクが聖書に挑むお話』6

 エデンの園。たまにアニメや音楽で引用されることがありますが、エデンの園にはどんなイメージがあるでしょうか?

 楽園? 天国?

 パラダイスという言葉、もともとは「園」だそうです。

 楽園のイメージが強いエデン。天国のようなイメージがありますが、そこから実在する川が流れていました。古代人は、エデンの園を地上と連続した場所として書いていたようです。

 日本で言えば、「楽園」から大和川や川内川や鴨川が流れているような感じでしょうか。

 ティグリス川とユーフラテス川に挟まれたメソポタミアブイブイ言わしていたバビロン。聖書の中では悪のシンボルとして使われています。その他にもメソポタミアとその周辺ではいろいろな帝国が興亡を繰り返していました。

 聖書が書かれた時代の古代イスラエル人にとっては、メソポタミアは「悪の帝国」を生み出してきた地域だったかもしれません。

 

 もしかしたら、はじめから「エデンの園」を人間の暴力が始まった地として描写する意図があったかもしれません。

 はるか古代に書かれた書物なので、古代人の意図を確認することはできませんが、いろいろな想像ができますね。

 地上と連続するエデン。果たして「ただの地上」なのでしょうか。

 日本の古墳については、「人工的に造った山に権力者を葬ることで、権力者を神格化していた」という説があります。

 天と地が交差して、神と人が共存する領域。後に新約聖書の中で「神の国」とか「天の国」とか呼ばれる概念です。

 古代イスラエル人はエデンの園に「神殿(神社)の元型」というイメージを持たせていたのかもしれません。

「地上と連続した、神と人が共存する場所」という視点でエデンの園を捉え直すと、いろいろ想像が広がるかもしれません。

 伝統的には「失楽園」「楽園喪失」といったイメージが強いのですが、単に「失われた過去」として書かれていたのでしょうか。もしかしたら、「未だ成らざる理想」という意味合いも込められていたのかもしれません。

 一神教の世界ではやたら話題になる「自由意志」。

 エデンの園の物語ではどうなんでしょうね?